文章基本信息
- 标题:飛島―指掌皮膚紋理に見られる,集落間の形質分化について
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- 作者:片山 一道
- 期刊名称:Anthropological Science
- 印刷版ISSN:0918-7960
- 电子版ISSN:1348-8570
- 出版年度:1982
- 卷号:90
- 期号:3
- 页码:269-289
- 出版社:The Anthropological Society of Nippon
- 摘要:前報では,3集落(勝浦,中村,法木)から成る,山形県飛島の人口構造ならびに婚姻構造,さらにそれから抽出される集団としての遺伝的特性を明らかにすることによって,飛島住民の身体形質に地域的分化の存在する可能性が指摘された。本報では,飛島住民の指掌皮膚紋理を詳細に分析するとともに,日本人の一般集団での成績と比較することによって,3集落間で見られる形質分化の大きさ,パターン,およびその要因についての検討を行った。本研究で用いた資料は,3集落を併せて,男性328名,女性369名の指掌紋プリントで,その大部分は,新潟大学解剖学教室によって,1956年に採取されたものである。主な成績は次のように要約できる。1. 男性では,指紋と小指球紋の紋型出現頻度と指間紋 a-b 三叉間隆線数の分布で,また女性では,これらに加えて,拇球紋の紋型と遠位軸三叉の出現頻度,さらに指紋総隆線の分布で,3集落間に有意な差異が認められた。分析された全質的形質を総合的に検討したところ,男女性ともに,有意な集落間差異が認められたが,掌紋形質のみを総合したものでは,女性のみに,有意差が認められた。これらのことから,皮膚紋理における,飛島の集落間の分化は注目すべき大きさのもので,分化の程度は,掌紋よりも指紋で,男性よりも女性の間で大きい傾向にあることが明らかにされた。2. 3集落間の分化のパターンを検討するために,比較資料があり,しかも形質相互の相間関係が比較的弱い6コの質的形質の11紋型について,紋型ごとに,各集落での出現頻度と日本人一般集団での出現頻度の間の偏差を標準化した後,集落ごとの変異パターンを図示して比較したところ,各集落は互に異った変異パターンを有することが認められた。3. 小指球渦状紋(二重蹄状紋も含めて),小指球橈側弓状紋,副軸三叉などの比較的稀な紋型の出現は,特定の集落に偏在してみられた。4. 日本人一般集団と比較して,飛島住民の皮膚紋理には,有意に異った出現頻度をもつ形質が認められた。飛島住民の皮膚紋理の特徴として,c 三叉欠如と指間副三叉の頻度減少,拇指球の痕跡紋や蹄状紋の増加,サル線の増加などが挙げられる。5. 結論として,飛島住民の皮膚紋理には,主として遺伝的浮動やファウンダー効果などの機会的要因に起因すると推測できる,地域的な形質分化が存在することが判明した。このことは,前報で予測された可能性を証拠として裏付けるものである。また,日本の小地域集団において,血液の多型性形質などの単遺伝子形質のみならず,皮膚紋理などの多遺伝子形質でも,地域的形質分化が生成していることの実例を与えるものである。