摘要:大腿骨骨体上半部の横断面の輪郭形状について,断面示数(section index)と主軸の方向(major principal direction)を計算し,小転子下部から骨体中央部にかけてその変化の様子を調べた。断面示数は扁平の強さ,主軸方向は扁平の方向を表わす。ネアンデルタールを含む種々のヒト大腿骨を用い,骨体に沿って変化するこれらの数値によって,骨体の捻転および扁平性の部位による相違を定量化した。この結果,小転子下部5%レベルで,断面示数および主軸方向のバラツキが最小となった。このような形態学的な方向性は,何らかの力学的要求に対応するものかも知れない。