摘要:京都,近畿,北陸の近世•現代人,沖縄,アイヌ,朝鮮•中国の近世人,縄文人の計7集団の男女829頭蓋を用い,その X 線写真からえた前頭洞計測値が集団比較の指標形質として有効か否かに重点をおき7集団を比較した。はじめに,京都集団について計測値の分布型,左右差,性差,年齢差,計測値間の相関など基本的問題を検討した。判別分析,ペンローズの大さ距離,形態距離とその主成分分析により集団比較を行なった結果,集団間の比較には大さよりも幅径と高径の比など前頭洞の形が有効であり,それによって縄文人,アイヌ,沖縄の3集団が他の4集団から分離されることが明らかにされた。