文章基本信息
- 标题:飛島
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- 作者:片山 一道 ; 工藤 敏行 ; 鈴木 庸夫 等
- 期刊名称:Anthropological Science
- 印刷版ISSN:0918-7960
- 电子版ISSN:1348-8570
- 出版年度:1981
- 卷号:89
- 期号:4
- 页码:427-438
- 出版社:The Anthropological Society of Nippon
- 摘要:報告者らは,山形県酒田市に属する飛島でヒトの身体形質でみられる地域的変異について調査研究を行い,各種の資料を得ることができた。本報では,かかる地域的変異の分析に必要な,人口構造および婚姻構造に関する資料を提示するとともに,いくつかの集団遺伝学的パラメーターを推定することによって.3集落(勝浦,中村,法木)から構成される飛島集団で考察可能な,遺伝学特性を明らかにした。さらに,これまでに報告された,日本の他の島嶼地域でみられる集団構造との間で比較を行った。主な成績は,以下のように要約できる。1.近年の人口変動は,明治以前の恒常状態の維持,明治初期から1950年に至る人口増加,1950年以降の過疎化による人口減少,として要約でき,トカラ諸島,八重山諸島,さらには,三重県の離島地域での知見と相似した特徴がみられた。2.集落内婚率は,勝浦76%,中村60%,法木84%で,また島内婚率は飛島全体でで82%あった。これは,島外から強い遺伝的隔離を受けているのみならず,集落間でも通婚は稀で,集落は各々単位集団として,交互に遺伝的隔離が存在することを示唆するものである。このように,小島であるにもかかわらず,遺伝的階層構造をもつことが明らかにされた。3.有効な集団の大きさは,ライトの方法によって,勝浦で120,中村で80,法木で68,飛島全体で259と推定された。4.有効な移入率は,勝浦で12%,中村で19%,法木で6%,飛島全体で13%と推定された。5.平均近交係数は,同姓婚の出現頻度に基づいて,勝浦で0.0500,中村で0.0387,法木で0.0452,飛島全体で0.0509と推定され,極めて高い数値を示した。6.ライトの隔離係数は,勝浦と中村はそれぞれ14.4と15.2と推定され,遺伝的浮動の影響が無視できないことを,また,法木では4.2と推定され,遺伝的浮動の強い影響を受けていることを示した。7.結論として,飛島の遺伝的構成は,強い遺伝的隔離のため,遺伝的浮動の影響を受けており,周囲の集団と飛島の間でのみならず,飛島の3集落間においても,身体形質に地域的変異がみられる可能性が示唆された。