文章基本信息
- 标题:頭蓋学における写真計測法の検討
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- 作者:高山 博
- 期刊名称:Anthropological Science
- 印刷版ISSN:0918-7960
- 电子版ISSN:1348-8570
- 出版年度:1980
- 卷号:88
- 期号:3
- 页码:249-268
- 出版社:The Anthropological Society of Nippon
- 摘要:人類学,特に頭蓋学において,写真が有用な道具である事はいうまでもない。BERTILLON&CHERVIN(1909),MARTIN(1928)の教科書や, SHELDON(1940)の研究が代表例であろう。写真の持つ有用性には,1)時間の独立性,2)空間の独立性,3)情報量(3次元以上)が多大であること等が,掲げられる。しかし,写真上での計測は,あくまで間接計測でおり,直接,対象に計測器をあてて測る伝統法とは根本的に異なる,本研究は,35mm版カメラを用いた場合骨格,特に頭骨において,写真計測が実用となる以前に,如何なる前提条件が必要であるか,理論的に解析し,実験的に証明したものである。〔目的〕頭蓋学における直接計測に匹敵する精度(許容誤差=1%以内)で,頭骨の深さまで写真上で測定する為には,どのような条件が最低限必要であるかを,検討する。〔パースペクティブによる歪み〕対象がフィルム面に写真として確立するまでには,種々の誤差を含む可能性をもつ(表1)本研究では,それらのうちで「パースペクティブによる歪み」を写真計測における最大の要因と考えた。即ち,深さを持った対象物が,2次元に写像される時におきる,遠位部一近位部の大きさの不均衡である(図1,2)。この歪みは,対象の深さ,幅又は長さ,及びレンズの画角によって変化する。〔画角〕本研究におけるレンズの画角はフィルム面上の像の大きさと,レンズの焦点距離によって定義される角度とした。実際の対象物:像=10:1である。〔理論式〕パースペクティブによる歪みの度合は,次の式によって示される。D(θ)=2d•sinθ/a+2d•sinθ/2I=レンズの画角,d=対象物体の深さa=対象物体の大きさ(幅,長)。これらの関係は図3のグラフに示した。aは対象が頭骨に限定すると考えて,定数を与えた.θの与える影響がdよりも大きいことがわかる(図3)。〔実験的検証〕理論式の検証の為に,表2に示した材料•機器によって実験を行なった。写真撮影の過程は図4に示した。誤差の介入を極力避ける為に5段階の検門を行なった。得られた結果は,2段階の検定の後初めて理論値と比較した(図5,6,表3)。理論値と実験値との間で,有意差のあるものは50mmレンズのみであった(表4)。即ち,1)写真計測における誤差は,対象の深さとレンズの画角によるパースペクティブの歪みが主である。2)パースペクティブの歪みに関する本研究の理論式は,実験上正しい。3)50mmレンズは,理論値よりも大きな誤差を生じた。50mmレンズには,他の特殊な誤差(例えば,レンズそのものの収差)が含まれる為と推定される。〔頭骨による実例〕実際の頭骨における,レンズの画角に歪みを検討した。資料は現代日本人男性頭蓋骨11例(東大資料館蔵)。直接計測,写真計測(50,200,800mmレンズ)による正面計測値を表5に示した。焦点面における計測値は,各レンズとも直接計測と有意差を持たないが,焦点面を離れるに従い,画角の大きなレンズでは有意差が現れる。つまり,頭骨のもつ深さがパースペクティブの歪みに対して与える影響が大きくなる。写真1は,来上の結果を視覚的に示したもので,大きな画角では計測点を示す三角形の頂点が確認できない。写真2は,同一頭骨の50mmレンズによるポジ像と800mmレンズによるネガ像を重ね合せたもので,白く抜けた部分が,画角の大きなレンズの生んだ誤差である。写真3は,写真2と同様の誤差を,モアレ縞等高線の重なりとして,数量的示そうとしたものである。〔結論と考察〕理論式,実験的検証,実際例から,深さを持った対象物を写真計測する場合,直接計測と同等の精度(誤差1%以内)を得る為には,最大画角2度(焦点距離800mm以上)のレンズが,35 mmカメラでは必要となる。大画角によって得られた写真を補正して,真値に近い推定値を得る事は可能である。しかし,写真1にもある通り,計測点が確認できない場合がある以上,正しい計測とは言えない。以上のような精度の高い光学系によれば,写真上に3次元以上のデータを含む(モアレ写真,ホログラフ,立体写真等)諸法の実用が,頭骨計測においても実用となると考えている。