摘要:児童•生徒に対して,生体計測値および体格指数について主成分分析法を用いて分析を行い,年齢との関係について検討を加えた。奄美大鳥の名瀬市において著者らが行った生体計測の結果にもとづき,年齢7-18歳の男子名474,女子455名の,7項目の生体計測値および8種の体格指数を分析データとして用いた。主成分分析の結果,男女問に大きな差異は認あられず,1以上の固有値を示す3主成分の累積寄与率は90%を越えた。Varimax回転後の負荷量行列から,第1-3主成分は,それぞれgeneral body size,体格皮下脂肪厚の因子と判断された。各主成分の年齢との相関を主成分得点から判定すると,第1主成分は強い関連を示し,第2および第3主成分は年齢と独立,すなわち年齢による偏りが少ない特徴を示した。第1主成分との相関の高い(主成分負荷量の高い)比体重およびQuetelet (Kaup)指数は,体格をあらわす指標として用いる場合年齢を考慮する必要が大きく,他方Rohrer指数,Livi指数,ponderal指数および標準体重との比は年齢による影響が相対的に少ないものと考えられる。第2主成分およびそれと直交する第3主成分の両者に関運が認められた皮下脂肪厚については,単に肥満をあらわす指標としてのみ理解することはできない。