パーソナリティ判断の安定性を測定し,また再測定における刺激条件の変化が前後の判断間の対応関係に及ぼす影響を検討することを目的として実験を行った。刺激として用いられた4本のビデオ・テープでは,対象者はメガネ条件(メガネをかけている,いない),呈示条件(映画で3分間呈示,静止写真で15秒間呈示)の組合せに従って録画されている。このビデオ・テープを組合せて,同一条件の反復,メガネ条件のみの変化,呈示条件のみの変化,メガネ・呈示両条件の変化という4条件のもとで,3週間の間隔で,同一対象者のパーソナリティについての判断を25尺度を用いて測定した。前後の判断間の対応を相関係数をもって表わしたが,この相関は同一条件の反復からメガネ・呈示両条件の変化への順に低下する傾向が見出され,同一条件の反復とメガネ・呈示両条件の変化間,メガネ条件の変化とメがネ・呈示両条件の変化間には有意な差が認められた。 また自己のパーソナリティについての判断の安定性と,本実験で測定された同一条件のもとでのパーソナリティ判断についての安定性を比較した結果,実験的条件のもとでのパーソナリティ判断は著しく安定性が低いことが明らかとなった。