この論文は,1)日本語の無意味綴字を刺激とした言語的条件づけ式の二様選択自体において,これまでの研究の結果のようなmatching行動が認められるだろうか。2)個々の被験者の予言反応率をみるとかなりの変異が認められるので,それらの個々人の反応を規定する要因として,被験者自身による刺激の期待確率と不安度とを取りあげ,それらと予言反応率との関係をみようとした。実験の結果は,大学生を被験者とした場合matching行動は存在したが漸近値において男女間に差があった。また,個々の試行ごとの反応率をみると統計理論に合わない現象がみられた。期待確率と反応率については,初期においては期待確率に相応した予言反応率は認めれたが最終的にはその関係は非常に弱く,むしろある程度刺激事象の生起確率に反応する傾向にあった。不安度と反応率との間の相関は非常に低い値しかえられなかったが,男子においては,不安度の低い被験者が高い予言反応率をとる傾向があった。(本論文は中国,四国心理学会第16回大会で口頭発表したものの内容である)